「歯磨き」というと、「歯を磨くこと」という認識であることが多いのですが、実はもっともていねいに磨くべきなのは「歯茎」です。でも、歯茎をゴシゴシと懸命に磨いたところで、歯茎の状態はよくなりません。むしろ、磨きすぎによる歯茎の炎症を起こしやすくなります。歯そのものは、誰もが意識的に磨いているので、意外と磨けています。とくに前歯は審美的な位置にあるため、磨き残しがもっとも少ない部分です。問題は、歯と歯茎の境目、歯茎の歯周ポケットが磨けているかどうか、ということなのです。
よく漫画の歯磨きシーンで「ゴシゴシ」「シュコシュコ」という擬音が使われますが、実際には歯磨きの音は、ほとんど音がしない方が望ましいです。「歯茎から血が出るのは、悪い血を出しているのだからいいことなのだ」と一般的に言われますね。確かに、その通りです。ただし、その出血が、はたしてどういう種類の出血なのか、ということを考えなくてはなりません。歯磨きのCMでは、よくトマトが歯茎のモデルとして使われますが、歯茎の表面が磨きすぎによって破れてしまうタイプの出血は、歯周病の元になります。歯茎に溜まった悪い血を出したいのであれば、鉛筆持ちで、無音で磨いて悪い血を出すべきです。歯周ポケットに向かって、斜め45度に歯ブラシを差し込んでみて下さい。この時点で出血があれば、すでに歯周病になっています、今すぐ、歯医者さんへいきましょう。
“歯茎と歯の関係”は、“山と植木の関係”に喩えることができます。歯は、植木です。山に植わった木は、山の地盤がしっかりしていなければ、簡単に倒れてしまいます。いくら、木(=歯)そのものがしっかりしていたとしても、地盤である山(=歯茎)が脆ければ、まったく意味がないのです。ですから、まずは歯茎の健康ありき、です。林檎を齧って血が出る状態、それはもう歯周病にかかっている証拠です。歯茎の病気は、歯のように簡単に治療できません。早めに歯医者さんで、ブラッシング指導をしてもらいましょう。